メロデスガイドブック / 北欧編 (Book)

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メロデスガイドブック / 北欧編 (Book)

世界過激音楽 vol.19.
A5 / 208ページ

ホラーや残虐性がベースのデスメタルに対して
個人の悲しみや孤独などの精神世界、
メロディやハーモニーを導入し始める
当初は馬鹿にされながらも、徐々にデスメタルを超えるほどに規模を
拡大し、ヘヴィメタルを代表する新たなジャンルへと成長していく

エクストリームメタルでも最も親しみやすく、特に日本で人気が高いサブジャンルを解説
第一弾の『北欧編』はシーン発祥の地 スウェーデンや二番手フィンランドにフォーカス

At the Gates 全米のメタルシーンに大きな衝撃を与えたヨーテボリの首魁
Dark Tranquillity 黎明期に結成し世界一美しいデスヴォイスと称賛
In Flames ヨーテボリで最大の商業的成功を果たした新世代メタルの魔神
Dissection 殺人幇助、拳銃自殺したメロデス、メロブラのオリジネーター
Arch Enemy 女性ヴォーカル参入で日本での局所的人気から世界的存在へ
Soilwork 最先端のアプローチと特有の浮遊感でモダンメロデスを切り開く
Edge of Sanity 天才Dan Swanö が描くデスメタルとメロディーの煉獄
Amorphis フィンランド民族叙事詩『カレワラ』を現代に語り継ぐ吟遊詩人
Children of Bodom オーロラきらめく森と湖の国きってのワイルドチャイルド
Sentenced 自殺・鬱・孤独をテーマに掲げるノーザンメランコリック伝説
インタビュー Fredrik Nordström, Sacramentum, Insomnium, Hypocrisy, Soilwork等
コラム 書籍『スウェディッシュ・デスメタル』、メロデスとメロブラの違い、北欧メタルスポット案内

1990年代、ヘヴィメタルは冬の時代を迎えていた。筆者のような1990年代に生まれた人間にはにわかに信じがたいかもしれないが、過去にハードロック/ヘヴィメタルが音楽のメインストリームで、商業的にも成功し黄金期を迎えた時期があったという。その発端は1970年半ばからイギリスから始まったNWOBHM(ニュー・ウェイブ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィメタル)というムーブメントによって数多くのバンドを生まれ、やがて海を越えアメリカでもその勢いが広がり始め、世界中を熱狂させる渦へと成長したからだ。
音楽シーン自体も1981年にアメリカで開局したMusic Videoを放送するMTVの登場によりプロモーションの在り方が変わった。より過激で豪華なものが持て囃され、NWOBHMから発展した攻撃的なサウンドが特徴のスラッシュメタルや、派手なメイクを施したグラムメタルは西海岸を中心にトレンドとなった。しかし、その栄華も長くは続かなかった。1980年代後半にアメリカのシアトルからグランジが台頭したからだ。飾らないオルタナティヴなロックバンドの登場、新たなカルチャーの移り変わりによってこれまでの音楽の在り方は否定され、方向転換を余儀なくされた。
一方で1980年代から活動していてその波に乗ってさらなる成功を掴んだバンドもいる。その代表的な例がMetallicaだ。1991年のセルフタイトル作品『Metallica』の発表は来たるオルタナティヴの時代を予期し、さらなる進化に繋がった。しかし言い方を変えれば、本作は同時にそれまで積み重ねてきた歩みを否定することにもなった。『Metallica』は本作で大きな商業的成功と同時に、大きな落胆の両方を界隈に投げかけた。それから程なくしてNirvanaの発表した『Nevermind』が発売され大ヒットとなると、皮肉にもMetallicaの予測は正しかったことが証明された。そのグランジも1990年代の後半になるとブームは収束していくのだが、以前のような指針を見失い、大衆的なメタルシーンは陰りを見せるようになった。

アンダーグラウンドの全盛期が始まる
ヘヴィメタルの歴史における冬の時代、それが1990年代だった。しかし、メインストリームではないアンダーグラウンドのシーンに目を向けるとむしろ1990年代から全盛期が始まった。その理由は前述したメインストリームへの落胆、そして反抗心が彼らの創作の拠り所になったからだ。「俺たちは商業主義に魂を売ったアイツラとは違う」と。「自分たちの音楽こそが正しい」と。
そんな商業的に成功を収めたバンドに対するアンチテーゼとも言える過激なスラッシュメタルの復活がデスメタルを生み出し、やがてそのブームがヨーロッパでも広がりを見せるようになると、悪魔崇拝や反キリスト教を掲げ、デスメタルが本来持っていた互助精神とも相容れないブラックメタルが登場した。

北欧でメロデスが登場
本書で扱うメロディック・デスメタル(以下、メロデスとも略される)はそのような時代背景の中で、北欧を中心に大きく発展したジャンルの1つである。当初はブラックメタルの腹違いの子供であり、メロディック・ブラックメタルとも双子のような間柄だったが、徐々に親であるデスメタルを超えるほどに規模を拡大し、ヘヴィメタルを代表する新たなジャンルへと成長した。
ジャンルの成長と発展は様々な要因があるが、間違いないのはスウェーデンの第二の都市であるヨーテボリが、最大の流行地であったことだ。ヨーテボリやその周辺地域に住む若いバンドが次々とバンドを結成し、メロデスは大きな盛り上がりを見せた。その中心にいたのは、Eucharist、Ceremonial Oath、In Flames、Dark Tranquillity、At the Gatesの5つのバンドだ。彼らはデスメタルの世界に「ハーモニー」を導入することを思いついた。それは1980年代、彼らがまだ幼い頃にNWOBHMの影響に受けていたことからだ。ヨーロッパの大衆的なメタルシーンの影響がスウェーデンの若者たちの創造力に火をつけ、これまでのデスメタルと違う新しいデスメタルが生まれた。後年に彼らの音楽を総称して「ヨーテボリスタイル」と呼ばれるようになった。

Peaceville御三家が他国に影響
もちろん1990年代のヨーロッパのメタルシーンを語る時にParadise LostやAnathema、My Dying Brideをはじめとする、当時Peaceville Recordsに所属していたバンドは無視できない。メロデスが宿す哀愁や耽美性はゴシックメタルやドゥームメタルと共通しており、相互に影響を受けながら発展していった。ヨーテボリは自給自足でメロデスを生み出せたが、それ以外の国では周辺のジャンルと調和する形で発展した。フィンランドのAmorphisやSentenced、ギリシャのNightfallやHorrifiedはその代表例であり、彼らはヨーテボリとは異なる源流を持つ。

世界各国に波及
初期のメロデスバンドが注目される追い風になったのは、自国の民族音楽や歴史に影響を受けて個性を確立する風潮が1990年以降にメタルシーンで広がり始めたこととも無関係ではない。メロデスの本筋からは外れるものの、イギリスのSkyclad、アイルランドのCruachan、ブラジルのSepultura、スペインのMägo de Oz、イスラエルのOrphaned Landの登場がそれを裏付けている。まだ小さな集団にすぎなかったヨーテボリのメタルシーンも含めて、決して恵まれた環境から物語は始まったわけではなかった。より多くの注目を集めるためにバンドは自身のアイデンティティーを楽曲に溶け込ませ、ロゴは病的に刺々しいものではなく、視認性に優れたスタイリッシュなものに変化するようになった。バンド間で交わされた暗黙の不文律はいつしかデスメタルとは枝分かれして独自の文化を育むこととなる。

デスメタルのホラーイメージと差別化
メロデスの音楽面以外の大きな革新性を述べるのであれば、従来のデスメタルがホラーやゴアを扱うのに対し、メロデスは個人の悲しみや孤独を扱っていたことにある。肉体的な痛みから離れ、ゴシックメタルやドゥームメタルが兼ね備えていた精神的な痛みに共感し、既存のデスメタルでは表現できなかった「死の領域」を広げることができた。その後のデスメタルの歴史から見てもメロデスというジャンルの誕生は、大きなパラダイムシフトを生み出していたことは間違いない。

メロデスに対する批判・拒絶・中傷
革新的でありすぎた故にメロデスと呼ばれるジャンルは、必ずしもデスメタルファンには好意的な視線を受けていたわけではなかった。少なくともそれまでのデスメタルの進化の流れに背くメロデスは歓迎されていなかった。「アレはデスメタルではない」「デスメタルにメロディーなんてありえない」「初心者向けデスメタルバンド」そのような批判・拒絶・中傷は決して珍しいものではなかった。
ところが興味深いことに、彼らのスタイルをいち早く評価し、支えたのは日本のヘヴィメタルリスナーだった。伝統的なヘヴィメタルシーンのリスペクトによって生まれていることを見抜き、彼らを伝統を継ぐ者として歓迎した。ヨーテボリのバンド以外に目を向けるとイギリスのリヴァプールの残虐王ことCarcassの存在を忘れてはならない。1993年の作品『Heartwork』はメロディーを大胆に取り入れた作品の先駆けの1つになる。本国では賛否両論の作品だったが、日本では強く歓迎された。日本のレコード会社や雑誌、そしてリスナーの後押しが無ければこうした盛り上がりは今よりも小さなもので終わっていたかもしれない。

アメリカのニューメタルにまで影響を与える
こうした下支えによって、デスメタルの一ジャンルであったメロデスは2000年代を迎えるとピークを迎え、日本以外の場所でも成功するバンドが次々と出始める。スウェーデンのArch Enemy、Amon Amarth、Hypocrisy、Soilworkはヨーテボリ以外の出身だがメロデス第二世代を代表するバンドへ成長した。そしてヨーロッパだけに留まらずアメリカの地でハードコアが叙情的な旋律を取り入れた過程で、メロデスは再発明された。ニュースクールハードコア/エッジメタルを経て、アメリカ仕様にチューニングアップされたメタルコアが誕生すると、マサチューセッツ州を中心に若者たちは新しいヘヴィメタルのゴールドラッシュであるメタルコアにのめり込んだ。この一連の流れはNWOBHMと同じ新たなムーヴメントを彷彿とさせる。

第三世界でモダンメロデスが勃興
アメリカではニューメタルとメタルコアが全盛を迎え、次々とバンドが台頭する。だがそれまでの歴史が語るように長くは続かず、メタルコアの衰退と共に徐々にメロデス本体もブームの収束を迎える。その一方で2000年以降、アメリカと北欧以外の第3世界に余波が広がるようになる。新人類とも言える彼らのスタイルはメタルコアのメッセージ性をごく自然に身にまとうようになり、陰欝した当時のメロデスとは異なる姿を見せている。近未来の世界観を共有するデフォルメ化されたメロデスは、モダンメロデスという言葉で表されることが多い。そして、今まさに本書を読んでいるこの瞬間にも新たなバンドと作品が産声を上げ、メロデスの世界は拡張を続けている。

隣接サブジャンルにも影響を与える
現在ではメロデスは世界中のあらゆる国でその存在を見かけるほどポピュラーなものになった。そしてメロデスの方法論・アプローチはパワーメタルやフォークメタルのサブジャンルにも導入され、今ではごく自然に取り入れられている。現代のメタルシーンでメロデスの影響を無視することは難しいほどだ。それは、メタルシーンに限った話ではない。日本のロックシーンに目を向けてもデスヴォイス、ブラストビートが使われるようになったのはニューメタルとメタルコア、そしてメロデスの登場によって導入のハードルが下げたからだ。ティーン向けのバンドの影響元を追った時に、彼らのフェイバリットにメロデスバンドが挙げられることはもはや珍しい話ではない。本書を読んでいる人の中には、彼らを通じてルーツの1つに挙げられたメロデスバンドに興味を持った方もいるのではないだろうか?

選定基準、そして「メロデス」という言葉
ここまでマクロな視点でメロデスにまつわる一連の歴史を振り返った。本書はガイドブックであるため、それぞれの歴史における個々のセグメントの詳細は国の紹介、バンド紹介、そしてコラムを通じて語っていく。本書の目的はメロディック・デスメタルにまつわる大量の作品のアーカイヴをまとめ、一連の歴史の出来事の再検証を行うことだ。その膨大な足跡を追うためには中心地である北欧全体のシーンと、それ以外の地域に分ける必要があった。これまでの既知の歩みはもちろん、見逃されていた部分にも光を灯していくことが本書の役割だ。
メロデスは曖昧さによって拡張したジャンルだ。掲載されたバンドの中にはメロデスとは言いがたい作品もあえて掲載している。本書の選定方針はメロディーの有無に留まらず、制作された時代の背景や重要度、既存のデスメタルから脱却しようとする先進性、そしてクオリティ。それらを総合的に判断して決めている。本シリーズは書籍のフォーマットで、紙面が許す限りその網羅を目指している。
なお、今ではメロデスは海外でも「Melodeath」で通じるほどに定着している。なので本シリーズは『メロディック・デスメタル・ガイドブック』ではなく、親しみやすさがある『メロデスガイドブック』というタイトルを採用した。

『北欧編』が扱う範囲
本書は『北欧編』としてスカンジナヴィアのメロデスシーンに絞ったガイドブックになる。スカンジナヴィアがどこまでを指すのか定義しよう。より一般的に使われる「北欧」という言葉は「北ヨーロッパ」と意味は変わらない。だからといって、ドイツやイギリスは高緯度の国に属しているので北欧と紹介してしまうのも、違和感がある。そこで、本書で紹介する『北欧編』の定義には「北欧理事会」の加盟国を参考にした。加盟国とはスウェーデン、フィンランド、デンマーク、ノルウェー、アイスランド、グリーンランド、オーランド諸島、フェロー諸島となる。そのうち、陸続きで繋がっているスウェーデン、フィンランド、デンマーク、ノルウェー、そしてフェロー諸島、アイスランドに絞って紹介を行う。最大の流行地であったスウェーデンのヨーテボリを中心に発生したムーブメントは、どのような影響をスカンジナヴィアのメタルシーンに与えたのか? メロデスの全体像を掴んでいく。

スウェーデン
メロデスの中心地であるスウェーデンでは、4つの地域に分けて紹介を行っている。インタビューでは、Hypocrisy、Sacramentum、Soilwork、Fredrik Nordströmにインタビューを試みた。Hypocrisyはデスメタル、Sacramentumはブラックメタルのフィールドからのメロデス像を追った。Soilworkはモダンメタルの立場から話を伺った。そして、ヨーテボリから数多くの作品を発表したFredrik Nordströmの知見を得ることで、巨大なシーンの全貌を掴んでいくのが狙いだ。

フィンランド
フィンランドではSentencedとAmorphisを中心とした初期デスメタルシーンから始まり、やがて彼らが1つの時代を築き上げると、Children of Bodomを筆頭とする新たな潮流が生まれた。Amorphisについては、メンバーを代表して初代ヴォーカルかつ現在までリズムギターを担当するTomi Koivusaariにインタビューすると共に、『Silent Waters』から作詞でバンドに協力するPekka Kainulainenに登場願った。そして現在のシーンを代表するInsomniumとOmnium Gatherumにインタビューを試みることで、フィンランドのメロデスシーンの強さを追った。

デンマーク、ノルウェー、フェロー諸島、アイスランド
スウェーデンとフィンランドに規模では劣るデンマークだが、メロデスシーン全体を語る上で見逃せないバンドが数多くいる。また、同国がスウェーデンやフィンランドに与えた影響についても紹介していく。ノルウェーはシーンこそ小さいが、デスメタルとメロディーの融合に関して、数多くのヒントがあったことがわかる選定を行っている。アイスランドとフェロー諸島については、知られざるメロデスバンドについて扱っている。

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